指導現場や指導者間で度々議論に出てくる事の1つに
コーチング(coaching)とティーチング(teaching)の使い分けがあると思います。
ところで、、
コーチング(coaching)とは
選手自身に考えさせ答えを判断させること
自分で答えへたどり着くためにヒントを出したり考えさせて判断、導く指導です。
例)
・なんでそっちにパスしたの?
・他に空いてる所はなかった?
・どうすれば打開出来たかな?
ではティーチング(teaching)とは
選手に答えを教えてあげることです。(学校での指導が良い例ですね。)
例)
・あそこがフリーだぞ!
・右にパスを出せ!
・クリアしろ!
サッカーの指導現場でコーチングだけで導けたらベストだと思いますが現実的に不可能です。
特にジュニア年代、ジュニアユース年代では100%不可能だと考えます。
そこで有効的なのがティーチングです。
全てをティーチングで行うことは絶対にNGです。
これをやってしまうと指示待ち、答え待ち、考える事をしない最近多くいる選手が育ちます。
その結果ピッチ上では全く力を発揮できない選手、また社会に出ても力を入れて発揮できない人間になってしまいます。
またティーチングの中でもミスを怒鳴りつける、否定する割合が強かったりするチームに見られるのはプレーをした後、選手が監督やコーチの顔色を伺うパターンです。
「今のプレーは良かったのかな?」
「アレがやりたいけどもう怒られたくないから安全なプレーをしよう、、、」
と不安になり確認するパターンですかね。
これはジュニア年代で多く見られます。
そしてそんな環境で育って来た子は次のチームに進んでも同じ行動をします。
例え新しい環境でミスをして怒鳴られても否定されてもいないのにコーチ達の顔色を伺うクセが付いています。
怒鳴られる、否定される。そんな環境で選手が歳を重ねるに連れて安全なプレーというかリスクがないプレー、面白味のないプレーが増えます。
ミスに対して怒るという事はあると思います。(指導者も人間なので感情はあります。)
では、なぜその選手はミスをしてしまったのかということを指導者は考えなければいけませんし、選手自身にも考えさせなければいけません。
この考えさせる事がコーチングですね。
ティーチングの場合だと
ミスを否定→答えを提供(こっちが正解だろ!など)
その場しのぎでティーチングを使用しているパターンです。
ただ次に同じような状況下の時に先程正解だ!と言われた事をプレーしてミスをするパターンがあります。
なぜならサッカーは同じプレーをする事がないスポーツだからです。
同じ位置でボールを受けても、敵と味方の配置が違ったり、試合時間によってはお互いの疲労度が違ったりと
全く同じ状況なんてありえません。(全てのスポーツで言えますが、、)
そこで考える、判断する事が重要になってきます。
この状況の時だからココにしようと選手自身が判断し行動出来るようになる事が重要です。
そのためにコーチングが必要であり、その前にその瞬間の判断材料になるティーチングでの答えが必要だと考えます。
僕が指導する時にまずティーチングを使います。
新しく獲得するスキルや動作に対して考えてみなというのは無理な話で、、、(ローリングからセービングなどは当てはまりません。)
例えば足し算ができない小学生に足し算の計算式を出して考えてと言っても解けないんですよ。
まず+って何?足し算ってなに!?って所から始まると思います。
教えられていない事を考える事は出来ませんね。
なので僕の場合はまず新しいスキル、動作についてはティーチングから入ります。
ただティーチングといっても必ずコーチングを織り交ぜます。
例えば、、、
正面付近に来る浮き玉のキャッチングについて行う際に
まずは何も無しにキャッチングを行なってもらいます。
そこから、どうやったらボールを確実にキャッチ出来るか考えてもらいます。(ここはコーチングですね)
そして選手から出た考えを実際にやりながら解説(ティーチング)して行きます。
例えばキャッチする形という意見が出た時に
様々な形を選手にやってもらいながら考えながら(コーチングしながら)解説(ティーチングを)していきます。
例)キャッチングの際の手の形が
①三角形や台形
②W型(チューリップ型)
③真剣白刃取り(横から挟む形)
④かめはめ波(上下から挟む形)
1つ1つを取り組み、どれがキャッチしやすかったか、それはなぜ?
そうだよねこの形だとこうなってこうだからキャッチしやすいよね!
というようにティーチングとコーチングを織り交ぜて行く指導を行う事が必要だと思います。
なぜなら選手自身が考え、答えを見つけた場合の方が覚えが早いです。そして応用が効きます。
ここでティーチングとコーチングを織り交ぜて行くもう1つの狙いは
選手自身が説明できる(プレーの言語化)事がベストです。
小学生の場合は動きながら擬音を使いながらでも構いません。
逆に中学生年代以降は専門用語を使って言葉で説明(言語化)できるように
こういった狙いを持ち指導にあたる事が必要だと思います。
そして選手自らが進んで考えられる状態になる事がベストです。
また選手のミスに対して怒鳴ったり、怒るだけの指導者はその他大勢の方が見ている中で「自分の指導不足です!」と言っているようなものだと思います。
選手が出来ないのは普段のトレーニングで取り組めていないから、正しいティーチングもコーチングもされていないからだと思います。
なので所沢ジュニアユースのGK陣は
僕がトレーニングで取り組んでない内容に関して、試合中にミスをしても怒られません。
というか単純に僕が怒れないんですよ。
答えはシンプルで一度も教えた事ない内容だからです笑笑
教えてない事で怒られれば選手も
「はぁ?教えてもらってないし!そんな事トレーニングした事ないし!」
となりますからね笑
この場合は怒る事はありませんが、そのミスは覚えといて!とだけ伝えます。
なぜなら、後に取り組むテーマの中に必ず入ってくるからです。
逆に取り組んだ事があり、普段のトレーニングでも問題なくスキル獲得が出来ている部分のミスに関しては、なぜミスをしたのかを追求します。
すでにティーチングとコーチングでスキル獲得は出来ているので選手自身で考える事が出来るため。
そして自分の限界にチャレンジした結果の新しいミス、チャレンジした結果のミスほど成長するために必要なプレーはありません。
もちろん成功する事も大事ですが、限界を越えて成長するためにはチャレンジして新しいミスを経験する事が必要です。
①チャレンジした結果の新しいミス
②ミスを考え修正する
③考えた事をプレーで試す
④新しい成功体験
この①〜④の繰り返しだと思います。
このサイクルを常に考えて取り組める選手が成長出来ると思います。
小学生にはまだ早いとかは関係なく、どの年代でもこのサイクルは求めていかなければいけません。
そしてこのサイクルをサポート出来るのがGKコーチ、指導者だと思います。
チャレンジしミスをして考えて解決する=上手くなる=楽しい
という感覚を持てるように側で導くのが指導者の役割だと思います。
そういった指導をされた選手は自立していける子が多いと思います。
指導者がコーチング(coaching)とティーチング(teaching)の使い分けを意識するだけで選手の成長スピードは大きく変化すると思います。